テスターを使うのにも、常識や最低限の知識は必要です。
よくある問い合わせで「お前のところに載っている回路を作ったが、トランジスタが熱くなって煙が出た。テスターでチェックしたいので各部の電圧を教えろ」なんていうのがあります。常識として、部品が過熱して煙が出たりしたら、電圧のチェック以前に工作を確認するのが先で、テスターなんか当てていたら回路は完全に壊れてしまいます。
これも何回かあった話しなのですが、TA7368PとかLM386を使ったアンプ回路で、入力側に1.5Vの電池をつないで出力をテスターで計ったけれど電圧が出てこない。ICの不良じゃないか?・・・これは回路図を見れば、部品の事をちょっとだけ知っていれば当然とわかるはずで、ICの出力側に接続したコンデンサで直流分はカットされますので、直流電圧は出てくるはずがありません。
テスター自体の性質も知っておく必要があって、アナログテスターの時代にはテスターの内部抵抗が低かったので、電圧測定の時にテスターを当てた事でテスターに流れてしまう電流が問題になる事がよくありました。今はほとんどがデジタルテスターなので、電圧測定時にテスター側に流れる電流は大抵の場合無視できるのですが、電流測定は以前と変わらず注意する事があります。テスターを電流を計りたい回路に挟む事で、テスター自体の電圧降下が生じますが、これが誤差の原因となってしまいます。
いくらチェックする道具や測定する機器を持っていても、最低限の知識常識が無いと、トンチンカンな事をしてしまったり、止めを刺すような事をしてしまいます。
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